野良の藝術 社会芸術/ユニット・ウルス Vol.5 出版のお知らせ
Art of Nora Being Kind to Earth
出版物情報:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784878895326
社会芸術20周年記念・「野良の藝術」出版記念
【映像展ご案内】
Sympathetic Vision:社会芸術 吉田富久一・大原由
@ プラザ・ギャラリー(調布仙川)
7/2(土)~8/28(日) 東京都調布市仙川のプラザ・ギャラリーにて昨秋に開催した野良の藝術野外展での映像作品を発表します。制作:大原由
7/2(土)15:00~18:00 には出版記念を併せた簡素なパーティをします。ご都合つきましたら参加お待ちしてます~。




野良の藝術2021さぎ山の現場Ⅱ「鎮魂と再起」
2021年11月12日(金)~11月14日(日)の3日間、さいたま市緑区さぎ山地区にて散策型の野外アート展を開催します!!!
コロナ禍にあっても粛々と続く農業にスポットを当て、自粛疲れからのリフレッシュ機会となる「自然散策×芸術作品鑑賞体験」を目指しています。豊かな自然と農の風景のなかを散策しながら作品を鑑賞をお楽しみください!
テーマは「鎮魂と再起」
首都圏の貴重な里山に息づく生命たちの声に耳を澄ませて、その場所性から近年の様々な災いへの収束を願い、再起に向けた表現をします。
かつて白さぎが集団営巣して天然記念物に指定されていた歴史を持つ場所で、今の時勢を絡めて、それぞれの再スタートのきっかけとなる企画を進めています!国内外で活躍する8人のアーティストが現地の歴史文脈や自然材料をもとに、この場所でしかできない作品表現をします。会期中には農業体験や炭焼体験、トークショーや踊りのパフォーマンスも予定。里芋掘りや新米の竈炊き、畑に穴を掘って炭をつくる体験を用意してますので是非ご来場ください。
※感染症対策のためマスクを着用のうえ、公共交通機関をご利用してご来場ください。
※ワークショップは有料 申し込みは公式HPから10月25日頃より受付開始します。
参加アーティスト:安部大雅、石井国義、大原由、奥田祥吾、田中迅、柳井嗣雄、吉川信雄、吉田富久一
キュレーション:根本賢 (武蔵野美術大学建築学科4年)
会場:ファーム・インさぎ山 / さいたま市緑区上野田282、さぎ山記念公園 / さいたま市緑区大字上野田362-1
主催:社会芸術/ユニット・ウルス 共催:ファーム・インさぎ山
協力:社会芸術・寺山支部 炭焼の会、生命芸術研究部会(環境芸術学会)、Open Street株式会社、株式会社スクリプト、埼玉高速鉄道株式会社、望月印刷株式会社
後援:埼玉県、さいたま市、SMF(サイタマミューズフォーラム)、美術と街巡り事業実施委員会、未来遺産・見沼たんぼプロジェクト推進委員会、見沼100年構想の会、Learnd-scape Sightama
約20年前から「芸術によるSDGs」を実践
2002年「街の創造性とアートの創造性を結びつける」として、吉田富久一の「社会芸術展 THE 市場」により社会芸術を開始。東日本各地の野外企画に参加・主催するなかで農とアートに共通点を見出し、「野良の藝術」を企画実行。野焼きや炭焼きを地域住民を交えて実行する、前例のないアートプロジェクトを続けている。
先進的な環境芸術への取り組みが学会等で評価されている。
関連動画
パンデミック下の表現者達 緊急事態宣言の中、非公開で行った
ボーダーズ-見沼の境界線を巡る旅- の記録映像。
農と共に 野良のアート 農には現代の様々な問題を包み込み解決へと誘う鍵がある。
大地に立ちアースして人と人とが繋がる。見沼の地で炭を作り、大地と共に呼吸するアート。 ファームインさぎ山での炭焼きと平行して、加田屋田んぼでは東西南北を示し十文字に連立した煙突から煙が上がりそこで籾殻の炭が作られた。南には見沼の大地を掘削した森山哲和の「原位置再生」。そこには縄文の土器片までもが見られる。シンポジウム会場となった「水平面と保つメタセコイア板・インスタレーション」を行ったのは根本賢。西側と東側に石井国義と安部大雅のバーニングオブジェ「大地始動」。
【設計 】社会芸術/ユニット・ウルス プロジェクト・リーダー/安部大雅 さぎ山の炭窯/吉田富久一

宝船展での環境カフェの様子



この度、社会芸術ユニット・ウルス、および炭焼の会では、さいたま市の後援を授かり"野良の藝術2021天空と大地"公開事業を行いました。
東京と隣接する政令指定都市さいたま市内に残されるかっての穀倉地帯としての見沼田んぼ。田の面積は僅か4パーセントに減少したものの、行政政策と市民運動により今も広大な緑地帯がえいえいと広がっている。洪水の際には水瓶となり、現在も首都東京を水害の危機から救い続けている。
後継者もいなくなり採算が取れないからとして減少した田んぼ。しかし自然の声を聞くという原点から、野を生かし野に良しとしての野良を体験する場所として見沼が活用されれば、輸入ばかりに頼るのではなく経済の根底としての農を育むという価値の転換へ繋がるのではなかろうか。
昨年よりのパンデミックで世界中で人の行動が制限され、その無念さが共有されるなか、農の現場では平常の活動が淡々と続いている。三密にあたらぬ大地を介しての人と人とのコミュニケーションが可能な田んぼには人間性の回復がある。残された田畑や里山に立つことでパンデミック後に求められる価値の転換が芽生えてくるのではないだろうか。
農には現在の様々な問題を包み込み、そして解決へと導く鍵がある。
社会芸術としてのユニット・ウルスと炭焼の会では芸術と農の創造性が重なっていくことに着目し、 活動を継続している。その一環として、さぎ山の斜面林では炭焼公開と森林の保全・環境をテーマとする講演会を計画した。見沼加田屋田んぼでは燻炭野焼きの煙をもって大気を燻蒸し、凧揚げと森の民による音楽パフォーマンスがなされ日暮れからは立ち上がる煙に映像を投影する。さらに、土壌を考えるシンポジウムを開催。
新春の見沼田んぼに100メートルの見沼龍神凧が踊り、田畑を肥やすもみ殻燻炭野焼きの煙との共演が始まる。夕暮れと共にその煙には映像が映し出され、重層し、動き、大気を燻蒸しつつどこまでも広がっていきます。








2019年までの
主な社会芸術の活動
動画 2011〜2014年 社会芸術の活動
TANBOプロジェクト
動画 見沼からの提案 野良の藝術
「炭焼き研究会2020」(講演会)が終了しましたので報告いたします
演題:「炭やきは地球を救うか バイオチャーの可能性と世界の動向」
2019年11月にソウルで開催された世界最大のバイオチャーの団体の会議の様子などを含め、国際的な視野に立ち、炭焼きの立ち位置と今後の展望について、お話を伺えました。
講 師:岩谷 宗彦(いわや むねひこ)先生
開催日:2020年2月22日(土) 終了
会 場:片柳コミュニティセンター 見沼区染谷3-147-1)
企画主催:社会芸術・寺山支部 炭焼の会
*公益財団法人サイサン環境保全基金の助成を受けてます
開演の前は妙に緊張感が漂うものだ。
炭焼の会のメンバーの大半が会議や講演会開催のベテラン揃いだ。特に細かな打ち合わせは行なっていなかったが、万全な準備がなされ到着を待ち構えており、講師の先生ばかりか、司会の私にもゆとりを与えてくれる。皆に感謝する。岩谷先生の講義は流れるようにスタートした。
世界最大のバイオチャー団体はInternational Biochar Initiative (IBI)であり、2006年に米国のフィラデルフィアで開催された世界土壌学会議(WSSC)のサブ会議として設立され、34カ国400以上の有料会員からなる非営利団体である。会長はTommy Miles(米)、役員に著名なバイオチャー研究者のヨハネス・レーマ(米・コネール大学教授)がいる。www.biochar-innternational.org/
IBIでは、バイオチャーを「バイオマス(生物資源)が酸素制限された環境で熱科学的な変換によって得られた固形物」と定義している。バイオマスとして捉えられるものは、麩(ふすま)、麦・稲藁、籾殻のほか、鶏糞、牛馬糞、人糞さえも含められる。つまり、有機農で使われる素材のことである。したがって、有機農と炭焼きを組み合わせることで、自動的に環境保全に貢献できるという合理的なプロセスを認識することが重要である。
また、岩谷先生は国際会議に参加して、世界各国・各地域の印象を次のように述べられている。
(1) ヨーロッパ:目の前の氷河が後退しているのを目の当たりにしていることもあり、地球温暖化に対する関心が極めて高い。ヨーロッパのバイオチャーの規格(EBC 2012 ‘European Biochar Certificate-Guidelines for a Sustainable Production of Biochar)を定めたものの、EUの農薬などの土壌へ施用する物質の規制が厳しすぎることもあり、実際の運用は難しい状況であるという。
(2) 中国:農地の5分の1が重金属で汚染されているという報告があった。このため、土壌中のカドミウムや鉛な
どの重金属を吸着する研究報告が非常に多い。農家が籾殻やトウモロコシの芯、豆殻などを焼却するため、大気汚染が深刻な問題となっている。このため政府はバイオチャーの製造施設を100カ所建設することを計画、」すでに10カ所以上完成している。政府の後押しと、若く優秀な研究者が多いことから、今後の進展が待望される。規模が大きいことと、木酢液の扱いにも注目したい。
(3) オーストラリア:コミュニテチィーづくりの核としてバイオチャーを位置付ける取り組みが行われている。バ
イオマス利用による脱化石燃料、有機農業、食育、環境教育の一環としている。政府によるバックアップもある。農業系廃棄物を原料としたガシファイヤー(ガス化機)の活用例が多く、バイオチャーはその副産物として利用。現在、Australia New Zealand Biochar Initiative において、バイオチャーの規格を策定中。酪農果樹への活用、木酢液にも関心は高い。参加者の3分の1は農家である。
(4) アメリカ:コーネル大学のヨハネ・レーマンなどの論文を根拠に、バイオチャーを活用して旱魃(干ばつ)の緩和、温室効果ガスの消滅を決定している。Biochar Research Advisory Group を2016年に設立している。メンバーは大学、州、連邦政府の研究者、産業の専門家等で構成している。この2016年は、アメリカのバイオチャーにとって画期を見ることができる、Assembly Bill 2511(議会法案):アメリカで初めてバイオチャーの規格を州政府として制定した(2016年)。Senate Bill 859(2016 上院法案)でも規定された。
これらの陰には、省庁間の協力があった。FDA(アメリカ食品医薬品局)、山火事、運輸、リサイクル等の8省庁が関わった。民間業者が参入しやすいように各省庁で基金を用意。一般の認知を得るために栽培試験のデモを行なった。
現在、100以上の事業者がバイオチャー生産に参加している。生産者と研究者、特にUCLAとの密接な現場での協力があった。この努力によって、生産者にも生産性向上というメリットが伝わったと言う。
さて、日本ではというと、(後編省略)
日本では伝統的に炭焼きが行われ、その熱分解の発想と技術の蓄積はあるものの、効率が重視される近代産業に押され大幅に縮小してきた。ところで、炭焼きでは丸ごとを有効に利用し循環させることで、資源の無駄を作らない。
わたしたち「炭焼の会」が行っている炭焼きや野焼き、炭や燻炭は燃料として有用であるが、バイオチャーとして保湿性、ミネラルの補給、微生物の繁殖をうながし、土を豊かにする土壌改良材とする有機農に有用である。焼成の際に排出される煙にも燻蒸作用と防虫に有効であり、木酢液やタールさえも有益な資源になる。しかも、有機農を行うことで、温室効果ガス排出を自動的に抑制できるのである。バイオチャーの考え方は地球の救世主かもしれない。
もともと日本のお家芸である炭焼きであるのだから、バイオチャーの考え方が今日の日本でもコンセンサスが得られるように、まずは創造的で主体的な実践と、同時に各方面への働きかけが必要である。
勇気づけられることに、昨年(2019年)は第49回IPCC(気候変動に関する政府間パネル)総会が京都で開かれ、温室効果ガス排出・吸収量算定ガイドラインの改良報告書が採択・受理された。つまり、国際的にバイオチャーBiochar=炭による仕組み作りがようやく開始されることを知る。
岩谷先生に感謝!
社会芸術・寺山支部 炭焼の会/事務局 吉田富久一


SMF主催 宝船展における「沃土プランによる 沃土プラント」野良の藝術へ向けた前哨


五カク窯での焼成について
千葉房総半島中央は豊かな緑に包まれた田園が広がっている。おいしい水が湧く地域がある。その小櫃に長年来の友人が所有する窯で今春二本松東和にて行ったワークショップの作品を焼成した。炭焼きの経験を生かした焼成方法を研究している。
火袋の内部に炭材を前もって仕込み炭焼きを行った結果口焚き後は約20時間一切手を加えることなく温度は上昇。火袋(燃焼室)に初めて薪を投入したのは点火後約20時間後である。結果美しく灰釉が行き渡った作品が出来上がった。PDFで詳細をご覧ください。